映画「クリムゾン・タイド」(1995)の感想。冷戦期の軍事サスペンス。

デンゼル・ワシントン、ジーン・ハックマン出演の、潜水艦を舞台とした冷戦期の軍事サスペンス。

冷戦後、ロシアでクーデターが発生し、アメリカや日本が核ミサイル攻撃される危険な状況になる。太平洋に出航した米軍原子力潜水艦に、先制核ミサイル攻撃の命令が出る。発射時刻が近づくが、通信機器の故障により司令部からの追加の命令を受けられなくなる。核ミサイル発射のボタンをめぐり艦長と副官の対立が生じる。

米ソの核戦争勃発の瀬戸際という、緊迫するような状況設定。だが、ほとんどが潜水艦内のシーンで物語は進む。艦長のハックマンは、やや強権的なたたきあげタイプ。一方の副官ワシントンは、理知的なエリート参謀。互いの対立は、何でもありの抗争ではない。抑制の利いたぎりぎりのルールの上での実権争い。それが二転三転していく。

こういった設定なので、否が応でも緊迫感が高まり、それが最後まで持続する。とにかく見る側に飽きさせない工夫はうまいと思う。面白い映画をつくるという意味では、かなり成功していると思う。

だが、見終わってからは、やはりストーリーが作りすぎという印象。実話がベースになっていると言うが、緊張感をあおる部分だけを拡大したような構成のように感じてしまう。

非常に面白いが、ポイントが抜けているように感じる作品。