コンクラーベで有名になったローマ教皇を選ぶ選挙を題材として作品。
ローマ教皇の死去によりコンクラーベが行われることになった。選挙を取り仕切るローレンス主席枢機卿は、真摯に教皇庁のことを考え、自分からは前に出るタイプではない。しかし全世界から集まった聖職者たちは様々なキャラの持ち主で、それぞれの思惑が絡み合い一筋縄で皆が認める教皇が選ばれる状況ではない。
聖職者たちであっても、最高指導者を選ぶとなると権力争いの様相を呈してくる。保守派と改革派の争いはどの分野でも同じ。そこに最近でもよくニュースになっている宗教界のスキャンダルが絡む。実際、ここの有力候補者たちは、まさにそういったすねに傷を持つ人たちばかり。ドラマ的には面白い流れになる。当然、彼らは互いにあら探しを行い、暴露合戦の応酬となる。
欲まみれの聖職者たちの戦いが見どころになる。否応なしにローレンス枢機卿の苦悩が浮き彫りになる。スキャンダルは、同性愛、女性や人種差別など宗教界が抱える問題に関連し、バチカンも人間たちの世界だと感じさせる展開になってくる。果たして誰が教皇に選ばれるかについては最後まで目が離せず、クライマックスで最高のオチがあって終わる。
バチカン内部の静謐で荘厳な雰囲気の映像は素晴らしい。赤が効果的に使われていて、キリスト教の歴史の奥深さを感じさせてくれる。面白い映画だ。