映画「ブルークリスマス」(1978)の感想。岡本喜八監督作品。

倉本聰脚本、岡本喜八監督によるSF映画。

前半と後半ではかなりテイストが異なる。前半はウルトラセブンばりの宇宙からの侵略者を想像させ、なかなか見応えがある。ジャーナリスト仲代達矢が足で稼ぐ丹念な取材で青い血にまつわる秘密を探ろうとする。テンポのよい取材活動により、徐々に当局の黒い思惑があぶり出てきて、緊迫感があって見応えがある。

後半は勝野洋と竹下景子のカップルの描写が中心。悲恋のメロドラマのようなストーリーで少し拍子抜け。当局側の動きがあまり詳しくは見えず、ただ弾圧を加えるだけの暴力集団になっている。権力の恐さを描こうとしているわりには物足りなさを感じてしまう。勝野洋の苦悩もあっさりとしすぎる。

害を及ぼしてもいない青い血を排除する政府側の行動は、もちろん社会的な差別や迫害を象徴している。重要なテーマでもあるが、被害者側からだけの見方で糾弾するだけではちょっと浅い。誰でも差別する側になる危険性があるし、権力側をただの悪者としているだけでは物足りないかな。