1980年に週刊文春に連載された松本清張ミステリー。
東名高速道路で起きた衝突事故を捕らえた写真が、新聞社主催の報道写真最高賞を受賞した。十万分の一の偶然を捕らえたようなものであったため、犠牲者の婚約者が不審を抱き、事件の真相を探る。
タイトルと冒頭の事件描写で、どんな展開になるかだいたい想像できる。純ミステリーとしてのトリック色は薄い。ただ、さすが社会派の松本清張作品だけあって、リアルな筆運びでぐいぐい惹きつけられる。
後半は復讐劇。とくに二人目については、社会派ミステリーとしてはやりすぎという気がする。大麻を使った殺人計画も、綿密な描かれ方をしているが、トリックとして見ればあまりうまくないやり方だ。
前半は非常に面白いが、後半はいまひとつかな。