古畑任三郎第12話「最後のあいさつ」の感想。犯人役菅原文太。(ネタバレ)

犯人役菅原文太。シーズン1の最終話。

古畑の上司である犯人は、麻薬取引の張り込みを利用して、孫娘を殺害した男を銃殺する。古畑が事件を担当して捜査を進めるが、疑問点が浮かび上がる。

なんとも雰囲気がいいエピソードだ。犯人役の菅原文太が貫禄たっぷりのベテラン刑事を演じていて、麻薬と銃を扱ういつもとは違った世界の事件。

舞台装置でも、ハードボイルド風のホテルが日本とは思えないつくりで、別の世界に連れて行かれたようだ。腐ったリンゴも、何やら異質の雰囲気を持った手がかりだ。

一方、謎解きはやや平凡。腐ったリンゴの謎は、何でもありでつくったトリックといった印象。どう頭をひねっても、解けない謎だろう。解決編の弟のトリックは、大げさなトリックで犯人を引っかけているように見えるが、要するにアリバイとなった目撃情報を直に確認しているだけ。陳腐だなと思ってしまう。

ところが、この2つのトリックが、ストーリーのなかでは、味のあるシーンになっているのが不思議だ。

刑事コロンボでは、「祝砲の挽歌」、「別れのワイン」、「忘れられたスター」など、いい雰囲気を持つものがあるが、古畑任三郎シリーズでは今回のエピソードだと思う。

ハードボイルドの雰囲気に浸るのもよし、完全アウェイの古畑を見るのもよし、よくできたエピソードだと思う。