橋下徹氏によるトランプ本。トランプについての氏の見方が半分で、残りの半分は氏を批判するインテリたちへの反論。
世界の大半がトンデモ大統領として扱っているトランプだが、発言は態度は非常に戦略的であるという。側近と意見が一致しないのもの戦略のうち。メディア対応もよく考えられている。交渉人として既存のルールをこわすやり方がうまいと。
著者は自分の立場をトランプになぞらえて、実行者として位置づける。政治を実行することがどれほど複雑で難しいことかと。その対極に、理屈で批判に終始するインテリ、評論家たちを置いて、容赦ない批判を加える。とくに氏を直接批判する人たちの実名をあげて強烈な反論を繰り広げる。
実際のところ、トランプは何もわからない行き当たりばったりの大統領だという見方はどうかと思う。不動産業で成功し、アメリカの大統領にまでなった人が無能であるはずがないだろう。
常に物議を醸すツイッターの発言も、非常に練られた作戦だろうと推測できる。そうすると、トランプ政権の政策は、裏を読んでいかないと真意はわからないということになる。政策実行者としてのトランプという見方をすれば、有能な大統領だというのはかなり正解に近いかなと思う。
トランプについての、もうひとつの見方を知るにはとてもよい本。あわせて橋下氏の実行力のもとになる考え方を知ることもできる。