古畑任三郎の第1話「死者からの伝言」。ゲストは中森明菜。
嵐の夜、ガス欠で立ち往生する古畑は、近くの洋館に今泉を差し向け助けを求める。そこで中森明菜演じる漫画家に編集者が地下で死んでいることを聞き、単身で捜査に乗り出す。事故死に見える事件だったが、漫画家の証言に矛盾を見つける。
シリーズ第1作だし、トリック、構成も凝っていてかなりの力作だと思う。刑事コロンボの「死者のメッセージ」が下敷きになっていて、それを超えるようなトリックを目指しているのが読み取れる。
ポイントは、第1発見者になるであろう犯人に気がつかれないように、被害者がどうやって犯人を知らせるダイイングメッセージを残すかの仕掛け。この点は、何のメッセージも残さないのが、犯人を示すメッセージになっているという逆転のアイディアは、なかなかうならせるものだと思う。
ただ、イニシャルであったり、卵、犬、頭部のキズであったりと、間接的に犯人を特定する手がかりはあるが、どれも弱い。最後の詰めでもう一工夫あれば、すばらしい作品になったと思う。
それでもシリーズの中でも秀作と言えるエピソード。記念すべき第1回にふさわしい。
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