エラリイ・クイーン「Zの悲劇」の感想。探偵ドルリー・レーンの第3弾。

XとYはだいぶ昔に読んだが、Zと最後の事件がまだ残っていた。ということでZの悲劇を手にとってみた。

黒い噂がある州上院議員が刺殺された。刑務所を出所したばかりの元受刑者が逮捕され、死刑判決を受ける。男は無実であると確信するドルリー・レーンは、死刑執行のタイムリミットが迫る中、真犯人の逮捕に全力をあげる。

元警視の娘が探偵役と語り部をつとめていて、最近のおしどり探偵が活躍するドラマと似たような雰囲気がある。死刑執行のタイムリミットが迫ってくるサスペンス感もあるし、謎解き一辺倒ではなく、映像ドラマを見ている感じで読める。

もちろん、御大ドルリー・レーンが捜査の中心であり、老いても冴えた頭脳は健在だ。ロジカルに追い込んでいき、状況から3人の犯人候補を絞り、そこからこれしかないという真犯人を導き出すところが見せ場。謎解きの醍醐味を十分味わうことができる。

昭和の初めの頃の作品とは思えないくらい、溌剌としたストーリーで楽しめる作品。