昭和56年にNHKで放送した銀河テレビ小説「煙が目にしみる」。将棋の世界を描いたドラマ。脚本はジェームス三木。大山十五世名人や花村九段など、懐かしい棋士の出演もある。
主人公は将棋の奨励会三段。四段昇段まで長く足踏みをしているうちに年齢制限に近づき、退会の瀬戸際にある。傷心の旅で知り合ったダンサーと心を通わせるようになり、それが師匠との摩擦を生む。苦しみながらも、最後の頑張りで昇段に望みをかける。
主演の川谷拓三の熱演が光る。不器用な性格の主人公が、つらい状況の中で、七転八倒しながらも、将棋に打ち込む姿は見応えがある。
登場人物は限られるし、予算もそれほどかけていないドラマ。結末も読めるが、主人公が紆余曲折を経ながら頑張る姿だけで、なぜか飽きさせないストーリーになっている。大河ドラマでもジェームス三木脚本のものは、面白い作品ばかり。ドラマづくりがうまいなと感心してしまう。
当時は現在の三段リーグが始まる前で、13勝4敗か9連勝が四段昇段の条件だった時代。この頃の名人は中原誠十六世名人。谷川浩司九段はB級1組、羽生善治九段は奨励会入会の前年、渡辺明三冠はまだ生まれていなかった。
銀河テレビ小説「煙が目にしみる」
BS12
2019年12月5日-2020年2月13日 木曜19:00-19:45
(本放送 NHK総合 1981年6月29日-7月24日 月曜-金曜21:40-22:00)