スウェーデンの作家サムエル・アウグスト・ドゥーセによる推理長編小説。古典的ミステリーとしてかなり有名な作品らしい。翻訳もいいし、無駄な修飾がないので読みやすい。1910年代の作品としてはかなり現代的な雰囲気で読むことができる。
室内での殺人とそこに出入りする関係者たちという設定。つくりこみもよく出来ていて、古典作品によく見られる粗さをあまり感じない。無駄な複雑さがなく、純粋に誰が犯人かの推理に集中できるのもよい。
なんと言っても目を見張るのはトリック。核となるところは今となっては珍しくないが、この時代の作品であることを考えれば、評判の作品となるのもわかる。更に、犯人逮捕劇にもう一段の仕掛けがある。これも現代的。当時これを読んだ人は、衝撃を受けたに違いない。
評判通りの良作。おすすめ。