NHKBSドラマ 横溝正史短編集Ⅱ「貸しボート十三号」の感想

NHKでドラマ化した横溝正史短編集の第2シリーズ。金田一耕助は池松壮亮。

公園に流れ着いたボートの中から惨殺された男女の死体が発見された。男は大学のボート部員であったため、金田一はボート部で聞き込みを行う。部員の婚約に絡む人間関係が明らかなる。

このシリーズの特徴であるレトロ感を漂わせる映像だが、とくにこの短編では昭和の雰囲気が色濃くでている。ことさらに映像美を強調することもなく、平凡さを意識したようなつくり。過度な演出や演技もなく、淡々とストーリーが進行する。金田一耕助もあまり目立たず、謎解きに重点を置いた構成になっている。

トリックがかなり複雑。登場人物は限られるのに、犯人当ては難解だ。種明かしで明らかになる凝りに凝った真相は見事。

原作のトリックのよさが光るし、それをうまく引き出すシンプルな演出。謎解きミステリーとしてはなかなかの出来だと思う。

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シリーズ横溝正史短編集Ⅱ金田一耕助 踊る!▽貸しボート十三号
2020年1月18日 23:00-23:30