映画「彼岸花」(1958)の感想。小津安二郎監督作品。

小津安二郎監督作品。田中絹代、有馬稲子、山本富士子、久我美子など豪華な女優陣が出演。

小津監督のいつものふんわりとしたホームドラマ。今回は同級生トリオの佐分利信、中村伸郎、北竜二に笠智衆が加わっている。その中で、佐分利信の娘の結婚をめぐる波乱が描かれる。

父親にとって娘の縁談は微妙な問題。他人の娘なら物わかりのよい進歩的な考えを持つことができる。だが、自分の娘となるとそうはいかない。相手は好青年だし、悪い話ではないのだが、自分の思い通りにならないとどうしも喜べない。そんな駄々っ子のような気持ちを持て余す父親を佐分利信が演じている。

次々に登場する名女優たちはさすがに華があって、明るい画面が更に光って見える。浪花千栄子と山本富士子の親娘の京風掛け合い漫才のような会話は楽しい。逆さに置かれた箒を元に戻すシーンには笑ってしまった。

松竹