映画「死刑台のエレベーター」(1958)あらすじと感想。マイルスデイビス音楽。

1958年製作のサスペンスタッチのフランス映画。

主人公は第二次大戦の英雄。不倫相手の夫を自殺に見せかけて殺害。その帰りにエレベーターに閉じ込められ、週末をその中で過ごすことになる。その間に、若いカップルが主人公の車を盗み、同じモーテルに泊まった客を殺してしまう。警察は、主人公の犯行は自殺と断定したが、カップルの犯罪は主人公の仕業とみる。

サスペンスものだが、どうしようもない緊迫感はない。若いカップルの軽薄さとともに、事件は思わぬ方向に発展し、じわっとくるような不安定さにつつまれる。見ている側は、予想外の展開にただただあらぬ方向に運ばれているような感覚を持ってしまう。マイルス・デイビス音楽とモノクロ映像が効果的だ。

ハリウッドの凝りに凝った娯楽映画とは違った楽しみ方ができる。間接的、心理的なサスペンスものの傑作。