鈴置高史著「韓国民主政治の自壊」書評感想。韓国の本質を知るための本。

著者は、元日経新聞編集委員、元ソウル特派員。BSフジのプライムニュースで韓国通としてお馴染みジャーナリスト。

現代の韓国が抱えるいろんな問題とその背景にある韓国特有の事情が興味深い。

自国を礼賛する強烈なナショナリズムがある一方で、国家というものを信じ切っていない国民感情。民主主義をうたいながら、三権分立が機能しない社会。国民の声であるべきロウソクデモは、実際は反対勢力に政争の道具として繰り返し利用されている事実。

外交関係でも、既にアメリカとの緊密な同盟国とは言えない状況。コウモリ的外交に頼らざるを得ない小国の悲哀が読み取れる。

慰安婦問題で日本側の約束を守れという主張は至極もっともなことだが、韓国側がなぜ約束を履行しないかのヒントも与えてくれる。

民主主義、法治国家といった当たり前の尺度だけでは、韓国社会は語れない。儒教社会、政争好きの国民性、国家の分断など特有の事情があり、それらが理解を難しくしている。

著者の韓国についての知見がギッシリつまっている。韓国を知るうえでの手助けになる良書だと思う。