指揮者を演じる市村正親が犯人役。絶対音感がキーワード。
指揮者の犯人は、別れ話のもつれから愛人の楽団員を殺害してしまう。事故の偽装をすると同時に、愛人の新しい恋人に罪をなすりつけようと工作する。古畑は、犯人に絶対音感があることに注目する。
いまいちしっくりこないエピソード。素材は揃っているのに、構成が甘くうまく組み立てられていない印象を受ける。
殺人の直接の証拠がない、指の怪我が被害者宅でのものである証明がない、犯人のアリバイに触れられていないなど。
肝心の絶対音感という一級の素材が生かされていない。犯人がクラリネットの演奏を聴いて指の怪我を指摘するシーンは、決め手にも使えるくらいのものだが、あっさりとした扱いで終わっている。
市村正親の演技が迫力あってよいだけに、残念な出来になっている。
推測だが、絶対音感という希な能力を持つ犯人に、その能力を逆手に使って決定的な証拠を突きつける幕切れを意図していたのではと思う。刑事コロンボ「別れのワイン」の見事なクライマックスを想定していたのかな。
よい素材をうまく料理できなかったエピソード。