東京オリンピックの陸上の男子100mの準決勝で、中国の蘇炳添が9.83秒のアジア新記録で1着となり、全体トップのタイムで決勝に進んだ。
神がかり的な爆走する選手を、まれに目にすることがあるが、蘇炳添の走りはまさにこれだった。アジア人がオリンピックで、世界の強豪相手にこういった走りしたのは、驚異の一言。
決勝ではメダルの期待もあったが、残念ながら6着に終わった。それでも9.98秒の好タイムを残した。
過去の神がかり的な激走をしたのは、
・ジム・ハインズ (1968メキシコオリンピック)
高地のメキシコ開催ながら、電気計時で9.95秒という驚異的な世界新記録で金メダル。高地メキシコでの記録というと、走り幅跳びボブ・ビーモンの8m90が有名だが、ハインズのこの記録も突出したもので、1983年まで破られなかった。
・ヘイズリー・クロフォード (1976モントリオールオリンピック)
準決勝で絶好調を思わせる快走で決勝に進み、更にパフォーマンスをあげて10.06秒で優勝した。この当時は電気計時と手動計時が併用されており、手動計時で9秒台が連発していたが、平地の電気計時でのこの記録は特筆すべきもの。並みいる強豪たちを相手にしなかったは走りは生涯最高のものだった。
・ベン・ジョンソン (1988ソウルオリンピック)
ドーピングで失格になったが、ソウルでのジョンソンの走りは凄かった。ロケットスタートを決め、そのまま9.79秒でゴールイン。繰り上げ金メダルになったカール・ルイスがかすんでしまう走りだった。
アテネで劉翔が金メダルをとったときも驚いたが、今回も同じくらいビックリした蘇炳添の爆走だった。