著者によるこれまでの官僚、特に外務官僚についての著書では、内情暴露で爆笑ものの脱線エピソードが多々紹介されていた。だが本書では、そういったトーンを控え、真面目な官僚論が展開されている。
官僚たちのローカルルール、外務省の不作為。
政権との関係。なぜ安倍内閣は強いのか、現政権内部での経産官僚の勢力拡大、小泉政権での第二官僚の誕生など。
官僚としての岸信介の優秀さ。城山三郎著「官僚たちの夏」の主人公風越信吾の独善性とその批判、そして岸との比較。
最近の事件に関する検察、法務省批判など。
外から見た官僚論だと、どうしても批判か希望論になってしまいがち。だがこの本では、内と外から見た官僚論なので厚みのある論理展開になっている。おもしろく読める一冊。
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