中川浩一著「総理通訳の外国語勉強法」書評感想

アラビア語専門の外交官による外国語学習法についての本。

著者は、外交官でアラビア語が専門。外務省入省後にゼロからアラビア語を勉強し、4年8ヶ月で会議通訳を務めるようになり、その後には総理通訳も担当。その経験から生み出した外国語学習法。

基本はアウトプットによる学習法。外国語学習本では、本格的なものはインプット重視、インスタント的なものアウトプットからということが多い。この本は高いところを目標としながらも、アウトプットからという方法を説いている。

そうかと言って、インプットを軽視しているわけではなく、インプットとアウトプットと割合を5対5としている。要は、アウトプットをすることで、使いながらしっかりと覚えるということになるのだと思う。

著者には通訳者になるという目標があったので、外国語と日本語との対比を重視している。つまり瞬間的に対応させる能力を身につけること。読んで理解することが主になる従来の学習法とはポイントの置き方が違う。外国語の学習は、「外国語から日本語へ」と「日本語から外国語へ」の双方向を行き来するわけだが、「日本語から外国語」方向へに重きをおいた方法だ。

結果的に、そういった通訳のための勉強法が非常に効果があり、一般的な外国語の学習法としても有効ということなのだと思う。シュリーマンの学習法にもあるように、使いながら覚えるというのは、理にかなった方法だと思う。

本書では、インプットのところのみに焦点を当てていて、アウトプットについての記述が少ないのは残念。アラブ文化を知るために、相当な時間を費やしていると思うので、そのあたりの経験談も含めた内容が欲しかったところだ。

実用的な外国語学習法としておすすめの本。