種田輝豊著「20ヵ国語ペラペラ」書評感想。ちくま文庫から復刊。

復刊リクエストが多かった種田輝豊著「20ヵ国語ペラペラ」がちくま文庫から発売になった。右側が長年愛読している旧版。繰り返し読んだので、かなりヨレヨレになっている。

著者の語学遍歴と外国語学習法について書かれている。語学への情熱を示すような数々のエピソードは、読み物としても面白い。体験的速習術29項は、著者の体験から生まれた学習法の紹介だが、どれも当たり前のものばかりで、あらためて語学学習に近道はないと思う。

この本が出たときに著者は30歳。その後、どうなったのだろうと思っていたが、知る機会はかぎられていた。

リンガフォンのパンフレットに、ENGLISH JOURNAL編集長時代に、当時のカシアス・クレイなど著名人にインタビューした話が載っていた。

それから80年代の別冊ENGLISH JOURNALに、近況を伝える1ページの記事が載ったことがある。翻訳主体の生活を送っていて、アマチュア無線に凝って外国との交信を楽しんでいるとのことだった。そして、文通、BCL、アマチュア無線の3つの手段を駆使して外国語をものにする方法を執筆中とも。残念ながら出版されることはなかったようだ。

本書の解説に、著者の語学力を示すエピソードが紹介されている。この話は、猪浦道夫著「語学で身を立てる 」(集英社新書)で読んだことがある。

著者を知るフランス人ビジネスマンが、種田氏のフランス語は世話になった通訳の中で突出していたと絶賛した話。しかし、フランス語は得意なものから数えて第8外国語ぐらいだったそうだ。

外国語学習法の本はたくさんある。種田氏の濃い語学体験から生まれた本書は、本当の意味で外国語学習のバイブルになる本だと思う。