映画「野獣死すべし」(1980)の感想。大藪春彦原作、松田優作主演。

大藪春彦原作、松田優作主演ハードボイルド。

原作とはかなり違っているらしい。松田優作がいきなり刑事を刺し殺すシーンから始まる。その後も狂ったように殺人を繰り返す。見始めてしばらくはつかみどころがない人物だ。だんだんと過去の戦場での経験がトラウマになっていることがわかってくる。だが、そういった過去から現在への葛藤の描写が少し端折られているような感じだ。

松田優作はまるで得体の知れない夢遊病者のような雰囲気を出している。完全にあちら側に行ってしまった人になりきっている。室田日出男の存在感もいい。こんな感じの名探偵役をやってくれればよかったのにと思わせるほどだ。鹿賀丈史の半分狂った表情も印象的。

ラストはミステリーらしい終わり方だが、とってつけたような感じがあるかな。