とにかく怖い映画だ。ミステリーというよりもホラーに近い映画。渥美清演じる金田一耕助は、最後に一気に謎解きをするだけで、それまではそれほど名探偵の役割を担わない。
やはり豪華出演者たちの名演が見どころ。山崎努の狂気の演技はすごいの一言。それから落ち武者、夏八木勲たちのシーンも怖い。毒殺される加藤嘉らのリアルな悶絶死。小川真由美の妖艶な魅力など。
市川崑の金田一耕助シリーズとは違った雰囲気がある。「砂の器」でも感じたが、昭和の時代の日常とその迫力が凝縮されていて、画面からは強烈な印象を受ける。
全体的に、かなり冒険したつくりになっている。少しやり過ぎたところは鍾乳洞のシーン。やや冗長な感じがするのが残念。