映画「舞踏会の手帖」(1937)の感想。人生の悲哀と希望の物語。

1937年製作のフランス映画。モノクロの名作。

夫を亡くしたばかりの若い未亡人。空虚な思いに苛まれる中、古い手帖を見つける。そこには初めて舞踏会に出たときに踊った男性たちの名前が記されていた。新しい人生のきっかけをつかもうと、彼らを訪ねることにする。

引き込まれるような映画だ。かってのパートナーたちを訪ねると、それぞれの事情をかかえた今の生活が明らかになっていく。それも華やかな成功をおさめた人はいない。むしろ挫折や転落の人生を歩んだ人が大半だ。若い頃の淡い想い出に期待した彼女は、現実の厳しさを目の当たりにすることになる。

下世話な見方をすれば、他人の生活をのぞき見をするような話だし、人に言えないような身の上話はストーリー性もある。そこに人生の悲哀を重ねたところが製作側のうまいテクニックだと思う。

人生いろいろだし、これが人生だという思いで受け止め、彼女は将来に希望を見いだす。これがないとつらいだけの作品になってしまう。