映画「知りすぎていた男」(1956)の感想。ヒッチコック監督のサスペンス作品。

ヒッチコック監督によるサスペンスミステリー。ドリス・デイが歌う「ケ・セラ・セラ」で有名。

モロッコに観光に来ていた医師一家は、バスの中で貿易商と知り合う。しかし、彼は市場で謎のメッセージを残して刺殺されてしまう。その後、知り合ったばかりの不審な夫婦によって息子が誘拐される。救出のためロンドンに向かった夫婦は、決死の思いで捜索を続ける中、要人暗殺事件に遭遇する。

この作品を観るのはもう何回目かになるが、それでも引き込まれるような面白さを感じる。

モロッコを舞台にした導入部は異国情緒満点。意図せぬ出会いにより事件に巻き込まれる偶然の怖さはヒッチコック監督作品にはよくある展開。そして、諜報機関の謎の工作と首相暗殺を狙う裏の勢力の存在。ぞくぞくするような緊迫感がある。

ただ怖いだけでなく、出費を患者の治療費で賄われる会話やホテルで待ちぼうけになる友人たちなど、ユーモラスな演出もしっかりと入っている。

緩みのない展開で最後まで飽きさせない。テンポがよく、サスペンスミステリーとして傑作だと思う。