映画「我等の生涯の最良の年」(1946)の感想

第二次大戦の復員兵たちの故郷に帰ってからのそれぞれの人生を描くヒューマンドラマ。ウィリアム・ワイラー監督。

戦争が終わり、同じ街を故郷とする3人が、偶然軍用機に乗りあわせて一緒に家に戻る。最良の日を迎えるはずだったが、いろいろと問題があらわれてくる。

階級が一番上の大尉は、軍功で勲章をもっらった小さな英雄だ。しかしその威光は社会ではまったく通用せず、職探しに走りまわり、安月給でようやくぎりぎりの生活をするようになる。多くの帰還兵が直面するであろう経済的自立の問題だ。

軍曹は、裕福な家庭の主人。保守的な考えの持ち主で、家庭では暴君の振るまいでやや煙たがれがち。家庭を守り国を守る強い父親だ。戦争中は頼りになる存在であったが、戦後の価値観の変化に直面する。

水兵は、軍務で両手を失っている。家族や恋人はあたたかく彼を迎え入れるが、素直に受け入れられない。人間の生命までも奪う戦争の最も悲惨な面を体現している。

困難に直面する3人は悩み苦しむが、打ち負かされるようなことはない。苦難を乗り越えて前に進むという姿勢は一貫していて、そこがこの映画のメッセージになっている。

アメリカンドリームや開拓精神のもとがつまっていて、観る人を元気にさせるような作品。