映画「正欲」(2023)の感想。朝井リョウ原作。稲垣吾郎、新垣結衣出演。

朝井リョウ原作。稲垣吾郎、新垣結衣出演。

うまく社会に適合できずに、つらい毎日を送っている人たちの物語。彼らは、何をするにも普通の人たちのようにはいかず、死さえも考えるような抑圧された生活を送っている。

全体的にセリフが演劇的で、いまいちスムーズさに欠けるところがある。凝った構成なので、しっかりと内容を伝えるためには仕方ないのかもしれないが。

前半新垣結衣の食べるシーンが多い。食欲は誰にでも備わったもので、まさに正欲と言える欲求だ。彼女はマイノリティ側の人間だが、普通の人と同じようにお腹が空くし、食べ物も食べたいという欲が当たり前にある。彼らにも欲求はある。しかし、あまりにも特殊な嗜好であれば、社会に受け入れられない。

そういった社会を代表するのが検事稲垣吾郎。彼はマイノリティ側の嗜好を理解できない。Youtubeに没頭する息子の心情を理解しようとしないし、水が好きであるとか論外。マイノリティがイコール犯罪者のような考えにすら傾いている。

少数派の権利を重視するようになった今の社会。次は嗜好についても向かうことになるのかなと思わせる作品だ。