踊る大捜査線シリーズのスピンオフ作品。室井慎次が警察をやめた後の様子が描かれる。2作品を前編後編とした構成。
刑事ものと言うよりもヒューマンドラマ。室井慎次はもともと組織の中での何をすべきなのかを自問自答するキャラ。結局のところ定年を前に辞職して郷里の秋田にこもり、里親として子供たちと生活する道を選んだ。穏やかな暮らしに見えたが、過去の犯罪事件を引きずるような出来事が起きる。
全体的には、やはり尺が長い。とくに前半はテンポが緩く、決定的な事件も起きないので、待ちくたびれる感じ。事件は、どれも進展しそうでしない、さざ波程度の扱いで終わってしまう。ちょっと拍子抜けだ。子供たちとの交流と、反目から和解に至った村人とのやりとり、そして室井自身の思いが中心になる。
刑事ものとして見れば本筋から少し外れた物語だ。だが、制作者側のこのシリーズへの思い入れは伝わってくる。過去の作品へのオマージュ的な部分も多く、シリーズの締めくくりとして作られたような作品だ。