映画「ラ・コシーナ/厨房」の感想。

2024年製作のアメリカ、メキシコ合作映画。ニューヨークのレストラン厨房で繰り広げられる人間模様。

ニューヨークの大型レストランの厨房は、ほとんどがラテンアメリカからの出稼ぎ労働者で切り盛りされていた。ある日、売上金盗難事件が発生する。疑いの目は従業員全員に向けられ、聞き取り調査が行われる。疑われたメキシコ人のペドロは無実を訴える。

毎日が戦場のような厨房。安い賃金でオーナーにこき使われる従業員たち。当然、言動も荒れてきて、仲間同士のいさかいも耐えない。しかし、彼らはわかっている。ここにいなければ食べていけないと。

豊かなアメリカ経済の裏には、こうした人たちが欠かせない存在であることは周知の事実だ。お互いに必要な存在であり、歴然とした資本主義の上下関係のもとに、レストランは運営されていく。

ペドロと恋人のアメリカ人ジュリアは、アメリカとメキシコの複雑な関係を象徴している。まもなく子供が生まれるというのに、二人のあいだは冷えている。しかし、一方では求めあう関係でもある。互いに忸怩たる思いをかかえながら離れることができない。

アメリカの経済にたよらなければ生きていけないラテンアメリカの国々。出稼ぎ労働者を低賃金で雇うことで経済をまわすアメリカ。モノクロ映像がきらびやかなアメリカの裏で起きていることを強調する。まさに今の世界の負の縮図だ。