映画「クヒオ大佐」(2009)の感想。堺雅人が詐欺師を演じる。

堺雅人が詐欺師クヒオ大佐を演じる。実際の事件がもとになっている。

こういう事件が実際に起きているのだから驚く。華麗なる経歴を装って女性に近づき、お金を出させたらドロンする。米軍のパイロットとか、エリザベス女王とか別世界の話をされると人の心は弱い。振り込め詐欺なんかにどうして引っかかるのだろうと思ってしまうが、心の盲点を衝いたような犯行なのだろう。

映画としては、もう少し脚本のメリハリが欲しいところ。クヒオ大佐の生い立ちが最後に軽く語られるが、ほぼ一本調子で詐欺師としての魅力がいまいち。クライマックスもなんとなく終わる感じ。もう一波乱を期待していたのに残念。

クヒオ大佐という浮き世を渡り歩くような人物設定はいいので、うまく肉づけして銭形警部のようなライバルを配置すれば、かなり面白いシリーズものにもなる可能性もあっただろう。

クヒオ大佐に騙される心情には、アメリカへの無条件追従という日本の態度が重なっている。アメリカのいいなりで湾岸戦争への多額の支援費を拠出したことへの厳しい風刺。わからないことではないが。