映画「十三人の刺客」(1963)感想 工藤栄一監督の傑作サスペンス時代劇。

工藤栄一監督による傑作サスペンス時代劇。

将軍の弟である明石藩主は乱行の限りを尽くしていた。暴君排除のため、江戸家老が筆頭老中屋敷前で訴状を残し自害した。筆頭老中は、将軍が弟の老中抜擢の意向があるため、表だっての処罰はできない。そのため密かに排除しようとする。筆頭老中の指示のもと、藩主暗殺のための十三人の刺客が選ばれる。

どこから見ても悪役のバカ殿と、それを討つために集められた刺客たち。機会を待つあいだの双方の駆け引き。そして最後の突撃と。忠臣蔵を思わせるので、すっと入りやすい構成だ。

シリアスな場面もあるが、殺戮だけの凄惨な映画ではない。チャンバラ映画の軽さと重苦しさがうまくバランスがとれて、緊張感がある流れになっている。クライマックスの乱闘シーンも、リアルな描写が主になっていて、モノクロ映像のよさが引き出されている。