映画「斬る」(1962)の感想。市川雷蔵主演。予期せぬ展開。

市川雷蔵主演。数奇な運命をたどる剣客の一生を描いた作品。

出生の秘密を持つ主人公。武者修行で腕を磨き、剣の達人となって帰郷する。だが、隣家の恨みをかって一族が斬殺されてしまう。その後、仕官先の大目付の用向きで水戸藩に同行するが、陰謀に陥ってしまう。

短い映画だが、剣豪市川雷蔵の格好良さは健在。ただ、脚本の流れがふつうの時代劇とは違って、異なるストーリーをつなぎ合わせたような不自然感がある。

冒頭のお家騒動の陰謀はそれ以上深まらない、追われる行きずりの女がなぜか着物を脱いで立ち回る、助けた弟が再登場してなぜか対決することに。そして最後のシーンも敵討ちはなしで、意味不明な終幕となる。

しかし、いつもの市川雷蔵の演技がどの場面にもスッとハマるので、予測不能の展開でむしろ際物的な面白さを感じさせてくれる。

決してつまらないのではなく、ハチャメチャさがある実験的な作品だと思う。