映画「ゴジラ-1.0」(2023)の感想。アカデミー視覚効果賞受賞。

昨年の11月に封切りになり、2月になっても細々と上映が続いていたのでさすがに話題作だなと思っていた。3月にアカデミー賞を受賞してからは人気が再燃。TOHOシネマズで平日の朝一の回で鑑賞。40人くらいの入りで盛況だった。

時代は戦中から戦後まもなく。貧しい時代の日本の民間人がゴジラに立ち向かう姿が描かれる。話題なったVFX演出はさすがによくできている。

ただ、シン・ゴジラのど迫力演出と比べると、全体的にはこぢんまりとしたつくりの印象を受ける。VFX以外のシーンでは、ミニチュア的な精巧なつくりを追求したようなセットで、レトロな雰囲気を醸し出している。凝った当時の戦闘機が出てきたりと、作品全体としても箱庭的な精緻さを指向しているように感じる。

ストーリーは最近の起伏の激しいものではなく、昭和のドラマのようなゆるい流れのもとでの人間ドラマ。緊急事態なのに、政府やアメリカの関与がほとんどないという設定には違和感を感じる。そこで生きる一般人のドラマとしても平凡。映像がよいだけに、脚本としても、もう少し深みが欲しい。

アカデミー賞受賞で盛り上がっているが、正直言えばエンターテインメント作品としてはシン・ゴジラの方が面白かった。それでも歴代ゴジラシリーズの中ではかなりよくできた作品であることに間違いない。