映画「ミステリーと言う勿れ」(2023)の感想。菅田将暉主演。

菅田将暉主演のミステリー。原作もテレビドラマとも知らなかったので、まっさらの状態で視聴してみた。

菅田将暉演じる主人公の久能整は、たまたま訪れた広島で女子高生から捜査の依頼を受ける。彼女の家は裕福な旧家で、当主の死により遺産相続が行われることになっていた。調べてみると、この家では、代々遺産相続に絡んで何人もの人が死んでいることがわかる。

ほぼ現代版金田一耕助シリーズといったミステリー。もじゃもじゃ頭の若い風来坊が探偵役というのはまさに金田一耕助そのまま。旧家にまつわる殺人事件も、横溝正史作品にはよくある設定だ。そして先祖が鬼たちに無慈悲に家を乗っ取られたという呪われた家系であるのも、「八つ墓村」を思い起こさせる。

ストーリーはなかなかよく出来ていて面白い。探偵が鋭い観察力で事件を解き明かしていく過程は、種明かしの手順がよいのでどんどん引き込まれる。一見ずぼらな性格であるが実はやり手の探偵を、菅田将暉が好演している。

松坂慶子が血筋にからんだ重要な役を演じるかと思って観ていたが、何も起こらなかった。ここは金田一シリーズとの違いだね。

横溝正史作品を観るように楽しめるよく出来たミステリー。