映画「動脈列島」(1974)の感想。増村保造監督の新幹線パニック映画。

1974年公開のサスペンスパニック映画。清水一行原作、増村保造監督、田宮二郎、近藤正臣出演。

新幹線公害に怒りを募らせた研修医近藤正臣が、抗議のため新幹線を転覆させるテロ行為に出る。一方、警察はエリート官僚である田宮二郎を捜査本部長とし、犯人検挙に全力を挙げる。双方の息詰まる攻防戦が中心になって話が進む。

近藤正臣はかなりの熱演。無謀なテロを仕掛け、警察に警告を与えながら必死の形相で計画実行に邁進する。正義感となりふり構わないがむしゃらさが画面に緊張感を与えている。そしてタイムリミットとともに徐々に追いつめられていくと悲壮感ただよう顔になっていく。地味ながらもなかなかの好演だと思う。

一方、田宮二郎は肩で風きるように颯爽と登場し、涼しい顔で最後まで捜査を指揮する。苦しい状況になると賭に出て、見事に的中を繰り返す。手に汗握る場面はない。エリートが軽く事件解決するだけになっていて、あまりにも起伏がなさすぎる。もう少し脚本を作りこんでいればと思う。

パニック映画として悪くはないが、高倉健の「新幹線大爆破」に比べると、少し物足りなさを感じる。