映画「ゾンビ ディレクターズ・カット版」(1978)の感想。ゾンビ映画が金字塔。

ゾンビ映画というジャンルを確立したという記念碑的な作品。

死者が突然生き返り人間を襲い始め、世の中は混乱状態に陥る。テレビ局員とパイロットの恋人、それにSWAT隊員の2人が脱出を試みる。ようやくショッピングモールにたどり着くが、そこでもゾンビたちに襲撃を受ける。

ゾンビという言葉はすでに一般化しているが、その元祖的なこの映画を観たことがなかった。BSでディレクターズ・カット版の放送があったので、視聴してみた。

冒頭からすでにゾンビに制圧されている状況で始まるが、その原因は説明されることはない。ゾンビに襲われる主人公4人の脱出作戦が最後まで淡々と描かれる。制作費としてはB級映画になると思うが、数々のアイディアで独特の恐怖感がある。

ただのホラーとしてでなく、世の中を風刺していると映画として見るべきかもしれない。ゾンビは弱者である一般庶民。4人の主人公は特権階級。特権階級は自らを守るためにゾンビを殺害するが、徐々に殺害行為を何とも思わなくなる。そしてショッピングモールで欲しいだけ金品を取りあさる。暴走族グループが現れ、自分たちの利権が脅かされると不毛な争いを始める。まとわりつくゾンビたちがどうなろうとも関係ない。社会構造を反映しているようなストーリーだ。

クラシックなゾンビ映画としてよくできた作品。