映画「近松物語」(1954)の感想。溝口健二監督作品。

溝口健二監督作品。脚本は、近松門左衛門の「大経師昔暦」と、井原西鶴の「好色五人女」を合作させている。

江戸時代を舞台にした悲恋物語で、当時の身分制度が色濃く反映したストーリーだ。封建制度とそれを支えるガチガチの身分制度のもとでは、いきをひそめて生活するしかない庶民たち。理不尽であっても従うしかないつらさが描かれる。

現代のメロドラマにもありそうなストーリーだが、非常にテンポがよいため、わざとらしさを感じることがない。役者の配置がうまいというか、必要以上にフォーカスが当たりすぎないので、自然な流れで話が進んでいく。

うまいな、さすがに溝口だな、と思わせる作品。