韓国映画「非常宣言」(2023)の感想。飛行機内のウィルステロ。

2023年公開のパニック映画。ウィルスを使った飛行機内のテロ。イ・ビョンホンとソン・ガンホの「JSA」コンビと「接続」のチョン・ドヨンが出演。

ウィルスによる自爆テロ事件が発生した飛行機内での物語。前半は、オタク系の犯人がウィルスをまき散らして機内がパニック状態に陥る恐怖が描かれる。後半は、その打開策に奔走する関係者の姿と、着陸拒否にあいながらも危機一髪で空港に帰還するまでの乗務員の苦闘が交差する。

流れがいい映画だ。こういう映画では、パニックであぶり出される家族愛、誇り、勇気、非情など極限状態におかれた人間の本性にスポットが集中することが多い。本作でも後半では、それぞれの登場人物の背景があぶり出されてくる。それでも誰かの物語に深入りすることなく、全体のパニック映画としての流れは途切れることはない。イ・ビョンホンの元パイロットもソン・ガンホの刑事もその中の一人にすぎない。設定をしっかりと作りながらもさわりのところしか使わないという手法。これがうまい。

あっという間に抗議デモが出てくるのは韓国らしい。成田の塩対応には日本は悪者かと思ったが、韓国ではもっとひどい扱いになるあたりは、ドラマとしてもよくできている。

パニック映画としてかなりよい出来になっていると思う。