岸宣仁著「財務省の「ワル」」書評感想。最強官庁の今。

変わりつつある今の財務省の内情をレポートした本。

一昔前までの大蔵省紹介本というと、最強官庁としての強大な権力と鉄の掟で統率される内部組織に言及するものが多かった。絶大な予算権限、政治家をも動かす力、エリートたちの出世競争など。

この本では、往年の大蔵省のトピックスを適度に入れながら、変わりつつある今の財務省を紹介している。

今でも最強官庁であることには変わりないと思うが、力に陰りが出ているのは事実だろう。官邸の力が強くなり、一番の基本である幹部の昇格人事にまで影響が及んでいる。秘書官を経験して政権に関係のある者が昇格しやすくなっているのは、その証拠。一方で、退職者が増えていたり、官僚希望者が減っているなど、地盤沈下を示すような話はニュースでもよく聞く。

事務次官には、浪人、留年経験者の方が多いとか、ユニークな理系出身者の紹介、出身高校と出世の関係などのトピックスは面白い。人事ネタは、下世話なはなしになりがちだが、その時々の状況が反映されるので面白いものだ。

日頃耳にする政治経済ニュースに、財務省が絡むことは多い。その財務省を知るうえでなかなか面白い本。