TBSドラマ「半沢直樹」(2013)(2020)の感想。現代歌舞伎のようだ。

U-NEXTでVIVANTを観終わったので、次は何かないかと探してみたら「半沢直樹」を発見。10年前の本放送のときに見逃して、再放送を待っていたのだが叶わず、ようやく視聴することができた。パート1、2の各2案件、計4案件を一気に観た。

評判通りの面白さ。銀行員が主人公でこんな面白い話をつくれるのか。プロジェクトXで取り上げたように、どんな職業にもそこにはドラマがある。バンカーという仕事のエキサイティングな部分をうまく取り出して、それを大げさに脚色したところがうまい。金融の難しい話をわかりやすくまとめて、ストーリーの理解の邪魔になっていないのもよい。

緩急をつけた展開と、ここぞという時のスピード感は秀逸。半沢の活躍だけでなく、銀行員の悲哀も同時に描かれる。人事と出航が懲罰のみに使われるような描き方で、銀行員のサバイバルゲームの過酷さをよりドラマチックに演出している。

何よりも目をひくのは大げさな演技。現代歌舞伎と言えるくらいの表情の変化。悪役も欠かせない存在だ。大和田常務、黒崎検査官をはじめ、憎らしいキャラが目白押しで、それがこのドラマを見るもうひとつの楽しみだ。

パート1、2ともに面白いが、終盤は浪花節的なストーリーになったのはマイナスかな。最後はチーム半沢のような感じになった。やられてなんぼの半沢直樹なので、あまり持ち上げられても困る。次作はつくられるか、半沢日銀総裁の誕生はあるかが今後の楽しみだ。