映画「高慢と偏見」(1940)の感想。

1940年公開のアメリカ映画。ロバート・Z・レナード監督。グリア・ガースン、ローレンス・オリヴィエ主演。ジェイン・オースティンの有名な原作を、舞台化された脚本をもとに映画にした作品。非常によくできていて、原作の知名度に頼らず、映画として十分に楽しめる。

当時の上流階級と中流階級の格差が、結婚相手さがしというストーリーの中にうまく表現されている。娘を良家に嫁がせようと必死な母親、財産と家柄を値踏みする周囲の目。身分の差がそのまま縁談の障害になるという構図が、説明くさくならずに物語に溶け込んでいる。

見どころは、建前の社交儀礼と本音との落差だ。丁寧な挨拶の裏で腹の探り合いがつづき、好意と反発がめまぐるしく入れ替わる。そのため、登場人物の動きから目を離せない。

演出は舞台劇風で、大仰になったセリフがよく生きている。しかも、間髪を入れずにセリフが流れていくので、テンポがよい。長いセリフの応酬でも、中だるみを感じることがない。

また、格式にこだわりすぎる年配の人たちの言動は、まるでコメディのようだ。笑いを誘いながら、当時の身分社会を皮肉っている。笑っているうちに、その滑稽さが逆に階級意識の根深さを浮かびあがらせる仕掛けになっている。

これに対して、主役のエリザベスは、身分制度にとらわれない若い世代として非常に生き生きしている。相手が大金持ちでも臆することなく、自分の意見をはっきり口にする。この快活さが、古めかしい世界のなかで際立っていて、物語を引っぱっている。

結末は典型的なハッピーエンドだ。それでも、密度の濃い演出とストーリーのおかげで、ありきたりな印象はまったくない。原作は有名だが、この映画も非常によい出来だ。