「コンフィデンスマンKR」の感想。コンフィデンスマンJPとの比較。

AmazonプライムでコンフィデンスマンKRが配信されたので観てみた。コンフィデンスマンJPのドラマ放送の頃から、コンフィデンスマンKRとコンフィデンスマンCHの噂があったが、ここにきてようやく韓国版が実現したのはうれしい。

構成

全12話で、2話完結の6エピソードという構成。

基本的には、詐欺のストーリーはJPのものをそのまま使い、そこに肉付けし、更に+αを加えている。JPと対応させると

第1,2話  ゴッドファーザー編(江口洋介)
第3,4話  美術商編(石黒賢) 
第5,6話  スーパードクター編(かたせ梨乃)
第7,8話  美のカリスマ編(りょう)
第9,10話  映画マニア編(佐野史郎)
第11,12話 オリジナル

+αの部分は、最終のオリジナルエピソードの伏線を断片的に入れている。

感想(第1話~第10話)

詐欺の部分は軽いノリでJP同様に楽しめる。そこに韓国ドラマ得意のホラー、ミステリー、時代劇が加えられている。部分的に見れば、どれも韓国ドラマのレベルの高さを感じさせる出来だが、コメディとシリアスの行き来が激しく、全体的にはちぐはぐ感がある。そのため騙しの軽快さが失われてしまっている。

それから各エピソードを2話に引っ張っているので、ちょっと間延びしている感じがある。45分用のストーリーのプロットなので少し無理な感じがする。

コンフィデンスマンJPのよさは、浮き世離れした詐欺たちのストーリーに徹しているところ。悪いやつを手玉にとって、ギャフンと言わせる爽快さがこのシリーズの命。KRはそういった軽快感がイマイチかな。

感想(第11、12話)

最終エピソードはオリジナル。イランの過去を巡る復讐劇になっている。よって、雰囲気は少しハードで、ノリノリ感があるのは最後の種明かしのところぐらい。

JPでは、ダー子の過去の闇を探るような暗い話は御法度。楽しくないことは捨て去るという方針が徹底されている。もしダー子の履歴書がでてきたら、それは100%詐欺の道具だと言える流れだ。

オリジナルエピソードでは、逆にそこに突っ込んでいて、韓国ドラマらしい出来になっている。そしてこれがなかなかいい。このエピソードに限っていれば、かなり成功している。JPのようにコミカル路線ではなく、こういうリアル版コンフィデンスマンを作ればよいものになるのではないかな。

ダー子対イラン

ダー子のよさは、浮き世離れの物語の中で、更に浮き世離れのキャラである点だ。つまり2階建ての浮き世離れの世界に視聴者を連れて行ってくれる。JPは9割方ダー子あってのドラマだ。

東宝の看板女優である長澤まさみが

「カジノの金庫空っぽにしたるでー」
「マリーナベイ・サンズのプール借りきって、全裸で泳ごうぜ」
「そんなの才能の無駄使いじゃない、アテンションプリーズ」

などのセリフのように、振り切ったコメディエンヌぶりが何よりも楽しい。

それに対して、イランのパク・ミニョンは、演技もいいし存在感もあるが、やはり可愛い女詐欺師の域を出ていない。詐欺グループの1/3の役割だ。そこがドラマ全体のトーンが上がらない原因になっている。脚本が求めているものが、JPとKRでは違っているということだろう。

他の出演者

やはりボクちゃん役のグホが目をひく。最終エピソードにつながる重要な役割であるが、各エピソードでのコメディタッチの演技がいい。

まとめ

ふんだんな予算と高いドラマ製作技術をつぎ込んだ豪華な韓国ドラマに仕上がっている。出来も悪くないし、楽しめると思う。ただ、JPと比較してしまうとちょっと残念かな。おすすめは最後のオリジナルエピソード。伏線があるので、全話見なければならないが。