映画「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」(2018)の感想。

2018年製作のフィンランド映画。

老画商のオラヴィは経営がうまくいかなくなった店をたたむことを考えていた。そんな折、オークションで巨匠レーピンの作が詳細不明の絵として出品される。彼はなんとか資金を工面して手に入れようとして疎遠になっていた娘に融資をたのむが。

画商としての最後の大仕事と家族とのヒューマン物語が絡み合うストーリーだ。どちらも予想できるような展開になる。名画の売却には邪魔が入り、経営的に苦境に陥る。娘と非行に走りそうな孫との関係もなかなかうまくいかない。割と平凡。

だが、孤独の画商とフィンランドの静かな街並みの対比がいい雰囲気を醸し出している。人生の最終盤を迎える舞台にふさわしい背景だ。娘と孫との関係も最小限に描かれるだけだが、娘との関係を悔いる気持ちと、孫とのあいだの世代の違いに戸惑う心情がじわりとにじみ出てくるような流れだ。ハッピーエンドなのはほっとする。

フィンランド語とスウェーデン語を切り替えるシーンがあったが、フィンランドではこれが普通なのかな。スウェーデン語の使用率は5%と聞いたことがある。