映画「オペレーション・フォーチュン」(2023)の感想。

ジェイソン・ステイサムが主演のスパイ映画。

スパイアクション映画の上澄みを取り出してつないだような作品だ。そのつなげ方がうまいのでテンポがよくて引き込まれる。プロットも複雑でなく、流れにまかせて観ていれば、敵味方の区別と陰謀のアウトラインが少しずつわかってくる。

豪華な客船、ホテル、自家用ジェット機と、贅を尽くしたような光景が画面いっぱいにひろがる。マドリード、モロッコ、カンヌ、トルコ、ドバイと目まぐるしく飛び回り、絵になるような街並みの中でのロケシーンが満載。観光映画としても楽しめる。

アクションは危機一髪のシーンはあるものの、袋小路に追い込まれて絶体絶命といった場面はない。超人的な諜報員たちは、するりと危機を回避してしまうからだ。何の心配も必要のないスーパーマンたちの活躍を安心して観ることができる。

007シリーズの目立つところだけでつくったような映画だ。栄養剤だけを飲んでいるような作り方で面白いのかと思いたくなるが、スピード感と各場面の高い完成度によってどんどん引き込まれてしまう。深みがあるとは言えないのに、よく出来ている不思議な作品だ。