映画「アルゴ」(2012)の感想。イランアメリカ大使館人質事件。

1979年に発生した在イランアメリカ大使館人質事件を題材にした社会派サスペンス映画。ベン・アフレック監督、製作、主演。

こういうことが実際に起こったというのだから驚いてしまう。イスラエルのエンテベ空港奇襲作戦もすごいが、これも現実ばなれした作戦だ。相当に脚色しているとは思うが、作戦のプロットだけでもまさにミッションインポッシブルで、最後まで緊迫感があって目を離せない。

アメリカとイランの関係悪化はこの件だけでは語れないが、相当に根深いことがわかる。そういった対立の激しさが全編にわたって描かれている。とくにイラン側の憎悪の激しさが、カナダ大使館に隠れる大使館員たちの顔によく表れていて、臨場感を盛り上げている。

パレスチナ問題ほど歴史をさかのぼるわけではないが、アメリカ対イランは現代の大きな国家間対立のひとつ。それがCIAによる政権転覆に端を発しているのだから、諜報活動がどれほど国際情勢に影響を与えるかを改めて知ることになる。その後勃発したイランイラク戦争で、アメリカがイラク支援にまわり、その後の中東の騒乱を招いたという事実もある。恐るべしCIAだ。

映画のできもよいが、それ以上にCIAの恐さを感じさせる映画だ。