映画「黒の奔流」(1972)の感想。松本清張原作、山﨑努主演。

山﨑努主演、松本清張原作のミステリー。原作「種族同盟」とは少しストーリーが異なっている。

松本清張作品によくある、野心家が弱者を踏み台にしてのし上がろうとするが、躓いてすべてを失うとうストーリー。山﨑努が主人公の青年弁護士を演じる。大物弁護士の娘との縁談により飛躍しようとする野心家であるが、殺人事件の容疑者女性と深い関係になり、将来の邪魔になる。

山﨑努は「天国と地獄」のときのようなギラギラした若者だ。場末の弁護士に甘んじている自身へのあせりと、そこから抜けだそうとする野心をうまく表現している。法廷での相手役検事は佐藤慶。この組み合わせはドラマ「商社」でもあったが、これも冷徹な感じがでていてピッタリだ。

とくに波乱もないので展開が読めてしまうが、それなりに楽しめる社会派ミステリー。