映画「陸軍中野学校」(1966)の感想。市川雷蔵主演。

市川雷蔵主演。全5作が製作されている「陸軍中野学校シリーズ」の第1作。

陸軍中野学校と言うと身構えてしまうが、この映画では史実をもとにしたというよりも、ミステリアスなスパイ養成機関の舞台として使われる。エリート少尉が選抜され、スパイ教育を受けるために陸軍中野学校に集められる。その過程で起きる暗号絡みの事件。

市川雷蔵は相変わらず格好よく、召集された帝大生という役柄。スパイとしての養成されるため婚約者との関係も断ち切られる。最後はかなり非人道的なことをすることになるが、筋金入りのスパイとなった彼には任務の遂行に邁進する。情に溺れることなく、そうかといって冷酷過ぎることもない役柄は雷蔵にぴったりだ。

今のスパイ映画に比べればチープ感はあるが、それでもテンポがよく、「ある殺し屋」ほどではないが娯楽スパイ映画としてはいい線をいっていると思う。やはり雷蔵の虚無的な表情はいい。