フィルム・ノワールという犯罪映画の古典として、高く評価されている作品。
保険会社の外交員の主人公は、ある日訪れた裕福な顧客の妻から保険金殺人の計画を持ちかけられる。当初は当惑したが、やがて夫人の誘惑に負け殺人に荷担することになる。計画は成功し事故死と認定されたが、保険会社の同僚が疑惑を抱き調査を始める。
古典的な保険金殺人のミステリー。事件の発端から実行、計画の破綻と、サスペンス的な要素がうまくちりばめられ、最後まで緊張感を持たせるつくりになっている。主人公の揺れ動く心の不安定さ、次第に悪女ぶりを発揮する夫人の不気味さ、探偵役とも言える同僚の人情捜査など、演技派たちの名演はさすがだ。
1944年製作なので、今となってはシンプルなつくりだが、ほどよい緊迫感が最後まで持続していて、楽しめるサスペンス映画。