読売新聞経済部著「インサイド財務省」書評感想

読売新聞に連載されていた記事をまとめたもの。

最近の森友加計問題、次官のセクハラ辞任など、かっての最強官庁財務省の凋落は続いている。

政治家との折衝の重要さが増すなか、うまく政治に食い込めない。OB勢力の力も弱まり、見切りをつけて中途でやめるキャリアも増え、かってほど人材が集まりにくくなっている。
何より官邸の力が強化された今のシステムの中で、うまく政権中枢に入り込めていない。京都学派や経産省の存在で、政権への影響力が今までほどではなくなっている。

一方、予算や減税の要求は関係団体などから、相変わらず強い要求がある。財政の立て直しが大きな課題である財務省にとって、こういった人々をどうやって説得して、財政健全化に結びつけるするかが腐心のしどころ。宿願である消費増税についても、幾度となく政権への根回しが続けられている。

地盤沈下する財務省であっても、国際金融の現場での重要な役割を果たす国際局、巨額の財政投融資を仕切る理財局は、最近の変化の激しい経済の中では、これまで以上の役割を担っている。

財務省関連の本は、政策の批判のものが多いが、本書は世の変化の中で苦闘する財務省といった点を際立たせた内容になっている。