渡部昇一著「知的余生の方法」の感想。

「知的生活の方法」と「続知的生活の方法」はだいぶ前に読んだ。大学教授のような頭を使う職業の人は、こういった生活を送っているのだなと思ったものだ。そういった知的生活の提唱者である著者が、シニア向けの余生の過ごし方を伝授した本。

前著は一般向けではあるがかなり要求レベルが高かったが、この本は四方山話的なところも盛り込んであり、気楽に読める内容だ。とくに新しいところはなく、知的生活のためのアドバイスがいろいろと書かれている。

前著同様に、エアコンの利用をすすめている。あの時代は簡単に買えるものではなかったので、それだけ著者の知的環境づくりへの意気込みを感じたものだ。温暖化のせいもあり今では当たり前になっていて時代の流れを感じてしまう。

エアコンのきいた快適な部屋で、本に囲まれて読書、執筆に励むことにどれだけ楽しみを見いだせるかが、知的生活にふさわしい人間であるかどうかのポイントになると思う。現代ではそこにネット環境が入ってくる。そこを活用したところまで踏み込んでいないところは、やはり少し古い状況での考え方だなと思ってしまう。

マイホームに自室を持ちたい、小さくても自分のスペースを持ちたいと思う人には刺さるテーマの本だと思う。