野口悠紀雄著「書くことについて」書評感想。現代の知的生産の技術。

「超」整理法の著者による文章作成術のノウハウをまとめた本。

書くことについてと言っても、文章読本的な文章の作り方ではない。アイディアからテーマを決め、構成を決め、内容に肉づけをしてまとめる。本を書くとことを念頭においた、文章作成のための工程表を、それぞれのパートに分けて詳細に解説してある。

IT力を駆使しての効率アップは、著者の得意とするところ。Googleの使い方など参考になる点が多い。

一番のポイントになるのは、最初のアイディアをひねり出すこと。これはについては、著者も苦労しているようで、最終的な方法としては考え抜くという結論に収まっている。これが提示できれば、魔法を手に入れたのと同然なので、各自が見つけ出すしか方法はないだろう。

残念なのは、サンプルがないこと。本を1冊まとめ上げるという大仕事の解説なので、具体的な事例を盛りこむのが難しかったのかもしれない。そのせいで、具体的イメージを持つのが少し難しくなっている。

現代の知識人が、知的生産の技術を惜しげもなく公開した、非常に参考になる本。書くことだけでなく、プレゼンテーションにも応用ができる内容だと思う。