宇野みどり著「ママとミシンとスワヒリ語 私のタンザニア物語」書評感想

著者はスワヒリ語通訳で翻訳家。1967年に青年海外協力隊員としてタンザニアに2年間赴任したのをきっかけに始まったタンザニアとの交流人生をまとめたもの。

赴任時代の現地での体験や人々との交流は、読んでいて楽しい。当時のタンザニアの一般市民がどんな暮らしをしていたのか、非常に興味深い。行動派の著者はなんとキリマンジャロにまで登ってしまう。

帰国後はスワヒリ語をとおして活躍する。ラジオジャパンのスワヒリ語放送に携わり、通訳、翻訳、教育にも活動を拡げ、数々のタンザニア要人の通訳を務める。そしてスワヒリ語の辞書まで出版してしまう。

著者の経験が語られている内容だが、タンザニアの地理、文化、歴史、生活などを知るうえで、よいガイドブックにもなっている。語られるタンザニアの人たちとの交流をとおして、タンザニアの人たちのものの考え方を知ることができる。今でも日本人にとってタンザニアは遠い国だし、ふつうの日本人で、タンザニア、ケニア、ウガンダの違いがわかる人は少ないだろう。そういう点で非常に有用だし、それだけでなく面白く楽しく読むことができる本。